尺八譜のテキスト記譜法の提案(改訂案V1.22)
----- u-zan@@shaku8.com (2007.03.06改訂)
-----
尺八譜って、なかなか、ウェブ上で表しにくいですよね。
誰でもテキストだけで記譜できるような方法があったら便利だと思いませんか?
1999年にウェブ尺八記譜法を提案し、掲載しておりました。
「甲乙」記号や「メリカリ」記号を音符と同じ行に書いていましたので、
これらの記号がつけられた音符は、記述が長くなり、16分音符などの短い音符の場合など
直感的に、音の長さを捉えにくい、リズムが捉えにくいという欠点がありました。
そこで、今回、全面的に改訂してみようと思います。
大きくは、メリ、カリ記号を、音符記号の上に表記するということです。
リズムに関しては幾分捉えやすくなったと思います。
但し、甲乙記号については、表記の位置を固定しませんでした。
いろいろ、ご意見をいただきたくお願いします。
ご意見はこちらへ。
取りあえず、横書きでも記譜しやすい都山譜を基本に進めさせていただきます。(ご異論の方もおありでしょうが)
下記の方法で、大抵の曲は表せるのではと思うのですが、どうでしょうか?
古典本曲は、ちょっと無理でしょうが・・・
楽譜サンプル
少々お待ち下さい。(とりあえず、下記の記譜例をご覧ください)
0.大前提(等幅フォントの使用)
各行による文字のずれを回避するため、<PRE>〜楽譜〜</PRE>のタグを用いる。
<PRE>タグの中では、<BR>などは不要であり、テキストで書かれたままが表示されます。
また、全て全角文字(スペースも全角)で表示する。
でないと、OSやブラウザにより表示が崩れてしまうことがあります。
ただし、楽譜の読みやすさのため、後述の方法で、半角スペースの使用を認めます。
1.基本音符
(運指はこちら)ロ ツ レ チ ハ ヒ ピ タ 四 ウ リ ヰ
2.メリ、カリの表記
1)下表の通り
基本音符 |
ロ |
ツ |
レ |
チ |
ハ |
ヒ |
備考 |
メリ |
半音(1律)下げる |
♭
ロ |
♭
ツ |
♭
レ |
♭
チ |
♭
ハ |
♭
ヒ |
都山譜では、ロ、レ、チの半音、ツ、ハのメリ など
琴古譜では、ロ、レ、チのメリ、ツ、ハの中メリ など |
全音(2律)下げる |
↓
ロ |
↓
ツ |
↓
レ |
|
↓
ハ |
|
都山譜では、ツ、ハの半音、ロ、レの半音のメリ など
琴古譜では、ツ、ハのメリ、ロの大メリ など |
カリ |
半音(1律)上げる |
♯
ロ |
|
|
♯
チ |
|
|
ロ、チのカリ、 |
2)1律下げるメリ音は、音符の上にフラット(♭)を表記する。
3)2律下げるメリ音は、音符の上に下向き矢印(↓)を表記する。
4)1律上げるカリ音は、音符の上にシャープ(♯)を表記する。
3.甲乙の表記
1)甲乙の法則に従い、甲乙が変化する音符の上に「甲」「乙」をつける
例)乙 甲
レチロ
2)大甲は、「大」をつける
例)大
レ
3)甲乙記号と、メリ、カリ記号が重なる場合には、甲乙記号をメリ、カリ記号の前につける。
例)乙甲♭
ハ チ
4)または、甲乙記号を音符の前につけても良い。(ひとつの曲の中で、上記との混用は避ける)
例) ♭
乙ハ甲チ
4.音符の長さ
1)2分音符(下に全角のスペース[空白]をつける) (音符の後に、半角スペースを1つ分入れる方が良い)
例)ロ
2)4分音符(下に−をつける) 例)ロ
−
3)8分音符(下に+をつける) 例)ロロ
++
4)16分音符(下に=をつける) 例)ロロロロ
====
5)32分音符(下に*をつける) 例)ロロロロロロロロ
********
5.休符は「○」で表し、上記と同じ方法で長さを表す
1)2分休符(下に全角のスペース[空白]をつける) 例)○
2)4分休符(下に−をつける) 例)○
−
3)8分休符(下に+をつける) 例)○
+
4)16分休符(下に=をつける) 例)○
=
5)32分休符(下に*をつける) 例)○
*
6.持続音符「ー」
直前の音を伸ばす音(タイも同様)は、「ー」で表し、上記と同じ方法で長さを表す。
1)タイの表現
ロロロロ ーロロ |
++++ ++− |
小節をまたぐタイも次のように表現できる。
ロロロロ|ーロロ |
−−−−|−− |
2)付点音符の表現
付点音符は用いず、持続音符「ー」で表現する。
全音符(4拍)は、 ロー (ロは2拍、ーも2拍)
付点2分音符(3拍)は、ロー (ロは2拍、ーは1拍)
−
付点4分音符(1拍+1/2拍)は、ロー
−+
付点8分音符(1/2拍+1/4拍)は、ロー
+=
7.連符
1)三連符は、長さ記号の真ん中に「3」と書く
例)8分三連 ロロロ ローロ
+3+ +3+
2)他の連符も同様
例)16部五連 ロロロロロ
==5==
8.小節線/繰り返し記号
1)小節線は、「|」で表す。
2)終止小節線は、「||」とする。
3)リピート記号は、「||: :||」とする。
4)ダカーポ(最初に戻る)
DC
||
5)ダルセーニョ(セーニョに戻る)
$ DS
レツロ|ロツレ|チレチ||
−− |−− |−− ||
6)1括弧、2括弧
「1. 「2.
||:ロツレ|チレチ| ハチレ|レツロ:|| レツレ|ツレロ||
||:−− |−− | −− |−− :|| −− |−− ||
7)ビーデ(繰り返し時に、ビーデ記号からビーデ記号に飛ぶ)
Φ Φ
||:ロツレ|チレチ|ハチレ|レツロ:||レツレ|ツレロ||
||:−− |−− |−− |−− :||−− |−− ||
9.空白(スペース)
楽譜を読みやすくするために、適当に半角の空白「スペース」を入れて良い。
ただし、半角の空白「スペース」は、必ず、補助行、音符行、拍子行の同じ位置に入れること。
例)♭ ♭ ♭ ♭ ♭ ♭ ・・・補助行
ハレチ ハロハ ハツロ|ロレレ レロハ レチハ| ・・・音符行
+3+ +3+ +3+|+3+ +3+ +3+| ・・・拍子行
10.コメント行
1)歌詞を表す行
歌詞を表す行を書く時は、音符よりも上に書くこととし、
行の先頭に全角で「%」をつける。
2)その他のコメント行
歌詞以外のコメント行については、
行の先頭に半角で「//」をつける。
11.記譜例
<譜例1>甲乙記号をメリカリ記号と同じ行に記譜する場合
//「さくら(日本古謡)」
// 4/4
% さくら さくら やよいの そらーは
乙 ↓ ♭
ハハロ |ハハロ |ハロツロ|ハヒハチ |
−− |−− |−−−−|−++ |
% 見わたす かぎーり かすみか くもーか
↓ ♭ ↓ ↓ ♭
レツレチ|レレツロ |ハロツロ|ハヒハチ |
−−−−|−++ |−−−−|−++ |
% においぞ 出ずーる
↓ ♭ ↓
レツレチ|レレツロ |
−−−−|−++ |
% いざや いざや 見に行ーか ん
乙♭甲 ♭
ハハロ |ハハロ |レチロハチ|レ ー○||
−− |−− |−−++−| −−||
<譜例2>甲乙記号を音符の前に記譜する場合
% いざや いざや 見に 行ーか ん
♭ ♭
ハハロ |ハハロ |乙レチ甲ロハチ|レ ー○||
−− |−− | −− ++−| −−||
12.本記譜法の考え方
本記譜法の考え方は、
基本的に、
「音符行(音の高さを表す)と拍子行(音の長さを表す)を別の行に分離する」という原則に基づいています。
これは、五線譜の思想と基本的には同じで、
五線譜の場合には、五線上の高さ位置で音の高さを表し、
音符の形で音の長さを表しています。
都山譜も、五線譜の特徴を生かして作られてはいますが、
都山譜における付点記号(ー)や、休符においては、運指記号(ロツレチ)と等価な
位置付けで書かれています。
この点において、本記譜法は、合理性をさらに高めたものと考えています。
また、本記譜法は、タイ記号を必要としません。
持続音符「ー」で、表すことができるからです。
これは、大変便利であり、小説をまたぐタイでも表すことができます。
旧版では、「甲乙」記号と「メリ、カリ」記号を音符行の中に書き込んでいました。
しかし、この結果、リズムが大変読みにくい弊害を生じました。
本改訂版では、「メリ、カリ」記号は、音符行の上に書くことにしました。
また、「甲乙」記号は、音符行の上に記譜しても、音符の左に記譜してもどちらでも良いこととしました。
旧版 譜例)
乙チ甲チチレ↓ツロハ↓ツロハ♭チレ|↓ツ↓ツ↓ツ↓ツレツロ甲ツレ乙ハロ||
+ +== === === ++| = = = ===+ += =−||
改訂版譜例1)
乙甲 ↓ ↓ ♭ ↓↓↓↓ 甲 乙
チチ チレツロ ハツロハ チレ|ツツツツ レツロ ツレハ ロ||
++ ==== ==== ++|==== ==+ +== −||
改訂版譜例2)
↓ ↓ ♭ ↓↓↓↓
乙チ甲チ チレツロ ハツロハ チレ|ツツツツ レツロ 甲ツレ乙ハ ロ||
+ + ==== ==== ++|==== ==+ += = −||
改訂版の方が、リズムの読みやすさは、大幅に改善されたと思われます。
特に、譜例1の方が、リズムは読みやすいと思われます。
譜例1と譜例2のどちらが読みやすいか、書きやすいかなどを含めて、
ご意見お待ちいたしております。