尺八が上手くなるにはどうしたらいいですか
こういう究極の質問に答える資格が私にあるのかどうかわかりませんが、とにかくご返答します。
ただし、「本当に上手くなる」ことが目的で、精神的・宗教的なことは無視して述べてみたいと思います。

とうぜん、先生に習っている、あるいは、習うことになるでしょうが、本当によい先生に習える幸運な人はごくわずかです。 ほとんどの人は、「かえって習わなかった方が良かったんじゃない?。へんな癖がついちゃって」というところでしょう
なかには、尺八を売ったリベートで儲けるためだけに、ただそのためだけに先生をしている人もいます 名古屋の某文化センター講師)。 環境はかんばしくありません。どうしよう?

  ならば自分の力で自分を上手くさせるだけよ

これが正解です。

ここで、「自分の力で自分を上手くさせる」過程を見てみましょう。

  1. ある音、ある旋律を吹く。
  2. 自分の頭にある理想と比べる。
  3. 違っていたら直す。
  4. 合格すれば採用する。
  5. 違っていても、「あ!これってなかなかイイ」なら採用する。
  6. ときどき自分の演奏のテープを聞いて愕然とする。
  7. 1,2,3,4,5,6 を繰り返す(4,5 は、ほとんど無いと思いますが)。

これをずっと続けていくわけです、何年も。「なんか退屈な単純作業だな」、と思いましたか。でも実際こういう事です。 こういうことをやってこそ、「あー、これだったんだ」の世界に入ることができるのです。早くこちらにいらっしゃい。

さて、上に述べたことをやるには、自分の頭の中に「理想的な演奏」が必要です。 また、自分の演奏を比べるために、自分がいかにヘタクソであるかを知る必要があります。
このための作業も、またもや単純です。

よい音楽をたくさん聞くこと。

当然、尺八の曲を聞くことになりますが、ほんとに素晴らしいのは「尺八三本会」の大御所と、そのほか数名です。 こういう演奏は腰を落としてじっくりと聞きましょう。毎日2、30分くらい真剣に聞けば、3、4年もすると、 これまでウマイと思っていた演奏家でも「なーんだ、単なるこけおどしか」ということがわかるようになるでしょう。 私の演奏なんか「はなで吹いてる」ぐらいにしか感じないかもしれません。また、自分のヘタさも、よーーくわかってきます。
次は「演歌」。歌手はなんといっても「美空ひばり」。それから「森進一」、「大月みやこ」、「石川さゆり」というところでしょうか。 「村田英雄」、「細川たかし」は音程が外れるのでやめた方がいいと思います。 演歌を馬鹿にしちゃあいけません。まさに日本の現代音楽です。センスの無いやつほど演歌、歌謡曲を軽く見る傾向にある。 というのは言い過ぎですが、まあ、なかにはカラオケでがんがん歌ってるくせに、かっこつけてる人もいます
。 ただ、演歌の音階が地歌や尺八本曲のそれと違うので、というか、音の並びは同じでも、基音の位置が違うので、 微妙な違和感を感じる人も居るかもしれません。
西洋音楽もどんどん聞きましょう。すぐれた演奏家がたくさんいます。一人よがりでツジツマの合わない演奏はまずありません。 私はオーケストラ物より編成の少ないものの方が好きです。バッハの「無伴奏チェロ組曲」なんか素晴らしいと思います (実は私、「バッハは史上最高だ」と思ってるんです)。 フルートではジェームス・ゴールウェイのほうがランパルよりも上だと思います。
他にも、インド音楽、アジアの音楽、中近東の音楽などありますが、私はあまり良く知りません。 でも、きっとすぐれた演奏があるはずです。

私は20代から30代にかけてこれをやりました。もちろん40代の今でも時々ですがやっています。
その結果「耳」は良くなりました。しかし、数年前から、練習はあまりしなくなったので(尺八以外で忙しくなった)、 「理想」と「自分」とのあまりの違いにいつもがっかりしています。

今年はやってみようかな。


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