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尺八は、その表現力においてバイオリンに匹敵する、今現在の楽器だ。その作り方は、これまで、きわめて難しいものとされていた。特に調律の方法は、秘伝中の秘とされていた。

尺八の場合「調律」というのは、「音程を調節する」という意味もあるが、「よく鳴るようにする」、あるいは「よい音が出るようにする」という意味合いのほうが強い。
実際、素人がみよう見まねで作っても、ほとんどダメなものしかできなかった。「鳴り」にいたっては、水道管(エンビ管)でチョロチョロっと作ったほうが256倍ましだ、というほどであった。

で、まともな尺八を手に入れるには、尺八作りのプロである「製管師」と呼ばれている人達から買うということになる。そうなると、尺八の値段は製管師の言い値となる。となると、売るほうとしてはなるべく高く売りたくなるのが人情である。「あいつがあんな値段で売ってんならオレだって」となるのが人情である。現実に、数100万の尺八が売れている、なんて聞くと、ホント、そう思うのも無理はない。それに、製管師の人達のほとんどは自信家だ。誰かが尺八を買いに来て、あまり鳴らないようだと、「あんた、吹き方が悪いんだよ。この尺八、誰が吹いても鳴るよ。」とくる(実際に、私はそう言われたことがある)。
というようなことで、尺八は非常に高くなりがちである。

なんだか、製管師の悪口のようになったしまったが、非常に良心的で真面目な製管師もいるし、安くて性能の良い尺八もある。また、高くなる理由として、他にも非常に重要なことがあるが、それは「6.販売」のところで。
とにかく、我々は「尺八は非常に高いものだ」と思わされ、高い尺八を買わされ続けてきた。もしこの状況が続けば、やがて、誰も尺八なんかやらなくなるだろう。
しかし、今やこの状況は変わりつつある。数年前から、作り方、調律のやり方が広く(といっても狭い世界だけど)公開されるようになってきたのだ。そして、今回このホームページである。 もう秘密なんかない。「尺八楽」という世界に誇れる文化のために、安くて高性能な尺八をジャンジャン作ろう。
そう、今こそ我々素人は反乱を起こすのだ。

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