Dentoh

伝統楽器?

「尺八」と呼ばれているものにも色いろある。最も古いのは正倉院にある「古代尺八」だ。これは現在一般に使われている尺八(以降「現尺八」と呼ぶことにする)よりも細く、指孔の数は6(現尺八は5)で、音階が<ドレミファソラシド>らしい。つまり、ほとんど別の楽器だ。
ほかに「天吹(てんぷく)」、「一節切(ひとよぎり)」というのがある。いつごろ伝えられたか、あるいは作られたかはよく知らないが、まあ、かなり昔の楽器である。天吹は現尺八よりも細く短く、指孔の数が5の「ケーナ」という感じである。一節切は前2つに比べれば現尺八に近いが、これも、太めのケーナに現尺八の歌口がついたという感じである(ここらへんちょっと乱暴かな)。上記の3つの他にも似たようなのがあっただろう。これらの尺八を、一緒くたにして、以降「古尺八」と呼ぶことにする(ここらへんスゴク乱暴)。
古尺八に構造上共通する点は、管内が円筒で、現尺八よりも指孔がかなり小さい、ということである。これは、古尺八は現尺八の直接の祖先ではない、ということを意味する。現尺八の直接の祖先は、次に述べる「普化尺八(ふけしゃくはち)」である。

普化尺八は、真竹の根っこの部分をわざわざ利用している。そうでない物もあるらしいが、現尺八の原型になったのは、根っこの部分を利用しているほうの普化尺八だ。
他の竹もそうだと思うが、真竹の内部はだいたい根っこの部分が最も狭く(というよりも詰まっている)、上に行くに従って広くなっている。こういう材料で尺八を作ると、完成後の内径も自然にそういう傾向になる。
.......<続く>